旧能生(新潟) 三峰(501.4m) 2019年3月21日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 5:43 駐車場所−−6:05 尾根取付−−6:14 尾根に乗る−−7:02 三峰 7:09−−7:49 林道−−8:09 駐車場所

場所新潟県糸魚川市(旧能生町)
年月日2019年3月21日 日帰り
天候
山行種類籔山
交通手段マイカー
駐車場林道路側に駐車余地あり
登山道の有無無し
籔の有無灌木藪が延々と続く
危険個所の有無急斜面で藪を迂回しなければ無し
山頂の展望悪い
GPSトラックログ
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コメントネット検索で登山記録が発見できなかった山。残雪を期待して東尾根を往復したが尾根上はほとんど藪が出てしまい雨で濡れた中を終始藪漕ぎ。蔓が混じって木登り状態の箇所もあり。カモシカ道に助けられた。山頂には人工物は皆無で目印も見当たらなかった。三角点は雪の下で見つからなかった。あまりひどい藪ではなかったので半端な残雪よりも無雪期の方がいいかも。でも当然ながら雪で藪が埋もれた時期の方が楽。雨が降り出す前は花粉が今シーズン最高に酷かった




車で入れるぎりぎりに駐車 未除雪の林道縁を歩く
場所によっては雪が消えている 最初はここを登ろうとした
考えて藪を避けてこの急斜面を登った 上部はかなり急で木に掴まって登る
尾根に乗る。予想より藪は薄い カモシカの糞
標高270m付近。藪と急斜面を避けて右へ迂回 カモシカの道を利用
標高300〜320m付近は椿の藪 たぶんアブラチャンの花
花の拡大 標高330m付近。藪が薄い
標高350m付近。一時的な残雪 標高370m付近。チャボガヤの強い藪
標高370m肩の蔓が絡む灌木。木登りで越えた まだ蔓藪が続く
標高390m付近。北斜面の残雪で藪を回避 標高410m付近
標高410m付近から山頂を見る。まだ藪は続く 標高420m付近。面倒な灌木
標高430m付近。やっと藪が薄まる マンサク。山頂でもたくさん咲いていた
標高440m付近。カモシカ道で北を迂回 標高450m付近。カモシカが歩いた直後
山頂直下のカモシカ足跡 三峰山頂部。南から見ている
三峰最高点。ここに三角点があるはず 北西尾根
山頂から見た能生市街 山頂から南を見ている
南西尾根 山頂直下から見た神道山、江星山
標高390m付近。ここから北斜面を巻く 北斜面を巻いてる最中。往路より大きく巻いた
標高270m付近。帰りはここを下った 標高240m付近。開けた草地。雨でレンズが濡れている
標高220m付近 神道山、江星山。こっちも雪無し
道端にデポしたワカンとピッケルを回収 フキノトウ。あちこちにあり
駐車箇所に向かう 駐車箇所到着


 2019年の春分の日は残念ながら日本海側を前線が通過する影響で広範囲で悪天が予想された。ただし、日本海側は比較的マシな天候とのことで、比較的短時間に登れて残雪期が有利な山ということで、旧能生町(現糸魚川市)の三峰に向かうことにした。三峰はネット検索で登山記録は1件も発見できなかったマイナーな山で、東〜北〜西を通る林道から往復するのが一番楽なルートだろう。しかし今の時期に林道が除雪されているとは考えにくく、集落に一番近い場所から歩くと想定するのが最も確実。今回は北側の小見集落から小見川沿いの車道を歩いて目的の林道に乗り、山頂から北東〜東に延びる尾根を往復しようと考えた。

 残念ながら前線に南から暖かい空気が入り日本海側でも気温が上がると予想され、雪が緩んで状態は最悪だろう。そもそも少雪の今年では標高500mでまだ雪が残っているとは考えにくく、雪があっても無くても状態は良くない。しかも朝から雨の予報で日中にかけて降る予報であり、雪が残っていなければ濡れた藪漕ぎとなってしまう。今回はその確率が高いため、短時間で登れることも考慮して三峰が適当と判断した。

 長野から能生までは糸魚川経由の西回りと上越経由の東回りがあるが、道のりはどちらもほぼ同じだった。ただし、東回りでは大きな市街地を2つ抜けることとなり時間がかかるため今回は西回りとし、今週もまた国道148号線を北上し国道8号線を東へ。先週は早川で右折したが今週はさらに東へ向かい能生川で右折し、小見集落を抜けて林道を南下、周囲にほとんど雪は見られず杉の植林帯を上がっていき、もうすぐ目的の林道へ到着と言うところで残雪で進めなくなった。予想通りに目的の林道も除雪されておらずここから歩くしかないが、車から短時間出ただけで目が痒くなり、夜中なのに周囲の杉から盛んに花粉が飛んでいるのが分かる。抗アレルギー薬を服用し点眼薬を点してから寝た。

 翌朝、朝5時に起きだしたとたんに雨粒が車の屋根を叩きだす。まだ雨量は僅かで濡れるほどではないが、出発する頃には徐々に強くなってきたので上下のゴアを着用して出発。最初から雨具を着るのも久しぶり。気温が高いので今日は雪に変わることはないだろう。藪が出ていたら濡れた藪漕ぎだなぁ。短時間の登山なので今日の足回りは長靴とする。念のためにピッケル、ワカンを持つが、これらが必要なほど雪が残っているのか心配だ。周囲はライトが不要になったばかりの薄暗さで、デジカメが手振れしないよう、撮影時は立ち止まってカメラをしっかり保持する。

 林道に合流し雪に埋もれた路面を歩くが、気温が高く雪が緩んでいる。しかし新雪は無いし古い雪もそこそこ締まって踏み抜きは無いので潜るのは足首程度まで。その点は助かるが林道から見た斜面にはほとんど雪が残っていない。こちらは南斜面なので溶けるのが早いのかもしれないが、神道山や江星山の北斜面にもほとんど雪が無いので、おそらく三峰も残雪は期待できなさそうだ。雪がたっぷりとあれば大きな沢を詰めようかと思っていたが沢には全く雪無しで尾根から行くしかない。

 目的の尾根末端から上を見ると藪っぽいのが気になる。それよりも先ほど通り過ぎた尾根南側の浅い谷沿いは草付きが続き藪漕ぎ不要なのでそちらから登ることにして林道を逆戻り。どう考えても雪装備は使いそうにないのでピッケルとワカンを道路脇にデポした。

 冬枯れした草付きは雨に濡れて滑りやすく、今回は長靴でエッジも効きにくいので慎重に登っていく。こういう時には雪が無くてもピッケルがあると助かるのだが。動物の新しい足跡があったので獣道っぽいが、藪が無いとどこでも歩けるのでルートははっきりしない。最初は谷の真ん中を登っていったが尾根直下ですべすべの岩壁が登場、斜面と同じ傾斜だが凸凹が少なく足掛かりが無いので右手の木が生えた急斜面をよじ登っていくと、上部からカモシカの荒い鼻息=威嚇音が聞こえた。距離にして50mくらい離れた場所に白っぽいカモシカがいたが、写真撮影するのは距離がありすぎる。カモシカはすぐに尾根に上がっていったが、人間はカモシカ並みの速度では登れない。

 尾根上に出ると思ったよりは藪は少なく、もしこの植生が続けば山頂まで簡単に往復できそうだが、残雪はほとんど見られなかった。僅かに残る雪にはカモシカの足跡と糞あり。足跡はさっきのカモシカのものだろうか?

 少し登ると傾斜がきつくなり尾根直上の灌木藪がかなり濃くなったので、カモシカの足跡に従って右手の残雪帯を登っていく。こちらも結構な傾斜であるが立ち木の間隔は広く藪っぽくないのでスムーズに登れる。傾斜が緩むとカモシカの足跡は左に屈曲し明瞭な獣道に変わって尾根直上に復帰した。帰りに分かったが、この直下は崖に近い急斜面でカモシカはうまい具合に迂回していたのだった。

 尾根上を少し進むと葉っぱの広い低い照葉樹が登場、おそらく藪椿と思われるが低密度なのでそれほどの障害にはならない。椿の次にはまだ葉が出ていない落葉樹の枝に小さな黄色い花がたくさん咲いていた。ミツマタに似ているが帰ってからネットで調べた限りではアブラチャンという植物の可能性が高いようだ。この花は過去に早春の山で見た記憶が無い。

 標高350m付近で一時的に残雪が登場するが部分的で、尾根直上ではすぐに途切れ途切れになり消えてしまう。北斜面には雪が残っているが傾斜が急でイヤらしく、往路では利用しなかった。標高370m付近ではカヤの木の葉のような左右に整列して尖った葉の低木針葉樹が登場。こちらもネットで調べたらカヤの仲間のチャボガヤ(矮鶏榧)らしい。カヤの多雪地帯に適応した変種で、本州・日本海側の多雪地帯等に自生し、高さ1〜2.5メートルの常緑針葉低木とのことで、この記述にぴったり一致する。しかしこいつは枝が高密度で通過は厄介で、一番濃い箇所は南側を巻いた。

 そのすぐ先は落葉した低灌木全体を覆うように蔓藪が覆っていた。尾根が狭く上を通過するしかなく、木の枝に乗って木登り状態で越えた。その先も少しの間は蔓が絡んだ灌木と格闘、ここがコース中で最も藪が濃かった。なお、帰りには先ほどのチャボガヤ藪と蔓藪はまとめて北側急斜面の残雪をトラバースして藪を回避した。概ね標高350m付近〜標高410m肩付近までが北側の急斜面に残雪が張り付いていた。

 標高410m肩付近で傾斜が緩むとまた蔓混じりの灌木藪が深くなり、ナタを持ってくればよかったと後悔。蔓は粘りが強く、人間の力で断ち切れないので厄介な存在だ。標高が高い場所には生えないが、この程度の低山ではあっても不思議ではない。

 標高430mを越えて平坦な尾根区間が終わるとやっと藪が薄くなり歩きやすくなる。それでも部分的には灌木が濃い場所があるが、カモシカ道は右の雪の無い急斜面を迂回していた。そこは雨で濡れた木の根がむき出しで非常に滑りやすく、慎重に足場を決めて通過した。

 再び尾根直上に復帰するとその先は濃い藪は無く、背の高いブナ等が中心で歩きやすい植生が山頂まで続いた。僅かに尾根上に残る残雪はカモシカが通った直後で崩れたばかり。どうやらカモシカがすぐ先を先行しているようだ。

 山頂近くで傾斜が緩んで雪が出てくるとカモシカの明瞭なトレースが登場。三角点のある山頂は山頂部北端にあるがカモシカは平坦な山頂部を横断して南へ向かっていた。山頂一帯はこれまでと違って一面が残雪に覆われているが、その深さはおそらく1mに達しないだろう。地形図を見ると等高線の間隔からして三角点より南側が最高点のように見えるが、現場に行くと三角点のあるはずの北端が僅かに周囲より高いように見えた。山頂標識はおろか目印も見当たらず人工物は皆無。里に近い山でこの状況は珍しい。山頂から北西に延びる尾根上にも南に延びる尾根にも道は無かったが、どちらもそれほど藪は濃くないように見えた。無雪期なら北西側の450m峰北側の林道から450m峰経由で登った方が藪が少ないかもしれない。山頂は落葉樹林に覆われて展望は悪く、展望を楽しめるような場所ではなかった。

 帰りは一番藪が濃かった標高370m付近は北側の残雪で迂回したが、完全には雪がつながっていないので最後は藪のトラバースで苦労。気温にもよるが、この雪が使えるのもあと1週間程度だろう。標高250m以下では往路の急な谷を下るのはイヤなので尾根を直進、僅かに雪が拾える北側斜面を下って最後は開けた草付きを横断して林道へ。デポしたピッケルとワカンを回収して車に戻った。今日はずっと雨具着用のままで、下山後はさらに雨脚が強くなった。


 雨が降る前の濃厚な花粉の影響か、帰ってから目も鼻も大変だった。私の場合、通常は抗アレルギー薬を飲むだけで鼻炎の薬は不要なのだが、この日はひどい鼻づまりで久しぶりに鼻炎の薬を服用した。もう、この時期は雪国でも標高が低い場所での植林は地獄を見ることが確定したので、来週以降は場所を選ばないといけないなぁ。

 

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